はやし浩司

春物語・はやし浩司
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春物語



春ねえ〜?
恋心を忘れたら、男もおしまいとはよく言うが、恋なんてものは、一生に、何回もできるもので
はない。実のところ、私は若いころは女性にはほとんど縁がなかった。女性で困ったということ
はなかったが、モテた経験はほとんどない。しかしどういうわけか40歳を過ぎるころから、ちょ
くちょくラブレターらしきものをもらうようになった。50歳を過ぎたら、もっと多くなった。しかし私
には、その勇気もないが、第一、時間がない。恋をしているヒマさえない。いや、私が浮気する
といっても、女房は気にしないだろう。私の女房は、女というより、女の姿をした男だ。あいつは
……、ホント!

春ねえ〜?
すてきな恋を連想することはあるにはある。しかし私はそのあとのことを考えてしまう。「この女
性と恋をして、結婚して、ああ、また子育てかあ……」と。そうすると、恋心がそのまましぼんで
しまう。それに、私の仕事には、いつも「女性」の姿がついて回る。講演でも、99%が女性ばか
り。私が書く本も、対象は女性。職場も、すべて女性ばかりだった。だからほかの男たちとは、
多分女性観が違うと思う。へんな言い方だが、私なら女湯に女性と一緒に入っても、平気で世
間話ができると思う。(入ったことはないが……。)オカマではないが、私はそういう特殊な人間
なのだ。

春ねえ〜?
いろいろ春めいたことを考える。もともと短足のブ男だから、この世界はあきらめている。女房
はときどき、「あんた、結構、ハンサムよ」とおだててくれるが、私は本気にしたことがない。恋
なんて、私には無縁なのだ。……となると、春とは何か。私にとって春とは何かということになっ
てしまう。ああああ!

*****************************

春というより、どこかウキウキするのは、春の終わりごろだ。人間にも発情期があるというが、
どうもそのころが発情期ではないか。もっとも、その発情期も、年齢とともに弱くなったが……。
少し前までは、私はすごい花粉症で、春がくるのが何よりもゆううつだった。しかし6年前に、そ
の花粉症がピタリとなおってしまった。体の免疫力が落ちたためか、それとも体があきらめた
のか。今は、春が何よりも楽しみだ。春になって、ホトトギスが空を飛ぶころ、新緑が燃えるよう
に一斉に芽をふきだす。私はあのころの山が大好きだ。








私の家から、歩いて10分ほどのところにある佐鳴湖の景色
04年4月6日(火曜日・午後4時ごろ撮影)


私の花粉症がなおったわけ……(おまけ)
  ここにも書いたように、私はひどい花粉症だった。それを自覚したのは24歳くらいのころだが、最初は風邪のように考えて、薬ばかりのんでいた。
 
 その私の花粉症がなおったわけ……。
 
 ちょうど7年前に、山荘を予定していた土地の検査がある日のこと。農地は一度、山林にかえないと、地目変更ができない。そこで私はそれをさかのぼること、6年前からその農地に杉の木を植え、その検査にそなえた。
 
 かくして6年間、毎年杉の木の手入れをした。で、結果として、ほとんどの木は、直径20〜25センチくらいにまで成長した。が、その法務局の検査があるというその2日前。あろうことか、石組みをしてくれた業者が、ユンボを入れるため、杉の木を20本くらい抜いてしまったのだ。

 そこで私と女房は、ユンボを借り、その日は日曜日だったと記憶しているが、杉の木の植え替えをした。ちょうど3月の上旬で、杉の花粉が飛び交う真っ最中だった。ひどいというものではなかった。10分も作業をしていると、めがねが見えなくなるほど、つまり浴びるように杉の花粉をかぶった。もちろん目は真っ赤。鼻も真っ赤。息もできないほど花粉を吸い込んで、気管支もパンパン。しかし作業を止めるわけにはいかなかった。

 作業はその日一日で終わったが、家へ帰って一番先にしたことは、風呂に入って、体中の花粉を洗い落とすこと。が、その風呂の中でのこと。風呂にしばらく入っていると、息がスースーと鼻を通るではないか! 目のかゆみもウソのように消え始めた。

 ……以来、花粉症はなおってしまった。多分、体が抵抗するのをあきらめたのではないかと思う。

 しかし花粉の季節になると、最初は少しは症状が今でも出る。ビタミンC注射と、シソの葉エキスを飲むと、そのまま症状が消え、それからはまったく症状が出なくなった。

 人に話すと、「ショック療法ですね」と言うが、私もそう思う。そうそうそれとこんなこともしている。杉の花粉の季節でないときに、できるだけ山林の中を散歩し、森の木々にこう話しかけている。「私はあなたの敵ではない。だからどう春に私をいじめないでくれ」と。多分、これも効果があるのでは……。皆さんも、一度ためしてみたらいかがだろうか。

(あとから元看護婦だったという女性から、「このショック療法は、ひとつまちがうと、命を落とすことにもなるから、しないほうがよい」というアドバイスをもらった。)